自作PCを組む際やゲーミングPCを購入するうえで、見た目を大きく左右するのがPCケースの存在。
近年では魅せることにも重点が置かれ、オープンフレームやキューブ型に近いケースもあります。そんな中でも基本形となるのが、ミニタワーやミドルタワーのような縦長のPCケースです。
一見すると、ミニタワーとミドルタワーでは大きさの違いだけなのでは?と思うかもしれませんが、実はその大きさこそが自作PCやゲーミングPCとしての、性能や拡張性を左右する重要なポイントなのです。
この記事では、ゲーミングPCの性能を左右するPCケースを、ミニタワーとミドルタワーで比較。双方のメリット・デメリットも紹介しますので、PCケース選びの参考にしてみてください。
【でかすぎ?】ミニタワーとミドルタワーの大きさの違いを比較
項目 | ミニタワー | ミドルタワー |
---|---|---|
平均サイズ | 幅196×奥行き418×高さ370mm | 幅214×奥行き478×高さ467mm |
拡張スロット数 | 4~5本 | 6~8本 |
置き場所の候補 | デスク上 ラック 床 | 床 |
ミニタワーの標準的なサイズは、平均幅196×奥行き418×高さ370mmです。いっぽうミドルタワーの標準的なサイズは、幅214×奥行き478×高さ467mmと一回り大きく、ある程度の設置スペースが必要になります。
一番の違いは、搭載できるマザーボードの大きさであり、ミニタワー=Micro-ATX、ミドルタワー=ATXというように、それぞれのマザーボードに合わせて拡張スロットの数が決まっています。
なお、幅に関してはあまり変わりません。幅は搭載するケースファンやCPUクーラーの大きさに関係しているので、12~14cmのファンを使う限りは大きくする意味があまり無いためです。
マザーボードのサイズについて
マザーボードはパソコンのベースとなる基盤で、一般的なATX、やや小さいMicro-ATX、小型のMini-ITXと3種類のサイズがあります。
- ATXは縦244×横305mm
- Micro-ATXは縦244×横244mm
- Mini-ITXは縦170mm×横170mm
標準的なサイズのATXの拡張性が最も高く、小型になるほどグラボなどのパーツ増設に使うPCIeスロットや、SSD用のM.2スロットが少なくなります。
サイズの大きいミドルタワーは3種類の規格に対応できますが、ミニタワーはMicro-ATXが限界のケースがほとんどです。
ATXを更に大きくしたE-ATXなどの特殊な規格もありますが、一般的なゲーミングPCで使うことはまずありません。
ミニタワーPCケースのメリット

省スペースでデスクの上に置きやすい
ミドルタワーのケースに比べればミニタワーはコンパクトで軽いため、ラックやデスク上のスペースに持ち上げやすいです。
デスクの上にパソコンを置けるのでホコリが溜まりづらく、パソコンの内部清掃がしやすくなり、メンテナンス性が上がるというメリットにもつながります。
価格が安い
ミニタワーケースで作られたパソコンのほうが、比較的安価に仕上がることが多いです。
まず、PCケース自体が小さいため、その材料費が少なくなること。
また、搭載するMicro-ATXマザーボードもATXマザーボードに比べると安価であるため、この価格差が完成品となったパソコン全体の値段を下げることになります。
ミニタワーPCケースのデメリット

性能は低い
ミニタワーケースのデメリットとして、ミドルタワーケースに比べて性能が下がるといったことが挙げられます。正確には、同じパーツを使っていても限界性能を追求することができなくなってしまいます。
まず、ケースが小さいために、大きな冷却機構が搭載できません。昨今のゲーミングPCでは、240~360㎜ラジエーターの簡易水冷CPUクーラーは当たり前。
GPUも3連ファンの大型モデルも増え、これらに対応するためミニタワーケース自体が大型化している傾向にあります。
小さいケースを使うことで冷却機構がケース内に収まらなくなり、それ以上の性能追及ができなくなってしまうのです。
ハイスペなグラボが入らない・拡張性の幅が狭い
ミニタワーケースに搭載されるマザーボードはMicro-ATXになるため、ケースの拡張スロットも5本分程度になります。それだけグラフィックカードを始めとした拡張カードの数が少なくなるということです。
また、ケース自体が小さいため、5インチベイはもちろんのこと、3.5インチベイの搭載数が極端に少なくなったものもあります。
排熱性に劣る
ゲーミングPCにおいては、CPUとGPUから熱が放出されます。PCケース内が高温になると、サーマルスロットリングという保護機能により、動作クロックが強制的に下げられ性能が低下します。
この熱を空気と共にケース外に排出するのがケースファンの役割なのですが、ミニタワーケースの場合ケースの表面積が少なくなるため、搭載できるファンの数も少なくなります。
ミドルタワーPCケースのメリット

標準的な大きさなので種類が豊富
ミドルタワーケースでは、拡張性の高いATXマザーボードも搭載できるようになります。
PCパーツとしては標準的な仕様となっているものなので、PCケースを製造しているメーカーもミドルタワーを基準にして製品化することが多いです。
拡張性に優れカスタマイズの選択肢が多い
ATXのマザーボードが搭載できるようになり拡張スロットが増えるため、ミドルタワーケースもそれに合わせて設計されています。
全体的にサイズが大きくなり、5インチベイや3.5インチベイのスペースも確保できるようになるので、各種カードの増設やHDDを複数搭載することが可能です。
また、ケース内部が広く、手を入れやすいのでメモリなどの増設作業がしやすくなっています。
冷却性・排熱性に優れる
ケースが大きくなることで表面積が増えるので、ケースファンの取り付け可能枚数を増やす事が出来ます。
より大きなラジエーターも搭載しやすく効率的な排熱システムを構築できるので、CPUが高いクロック数を維持しやすくなり、性能を引き出しやすくなります。
ミドルタワーPCケースのデメリット

そこそこ大きさがあるため場所を取る
ケース自体がミニタワーケースと比べると大きいため、重量が増えますし、場所を取ってしまいます。
また、冷却性能を追求してラジエーターを搭載し、サイドパネルにアクリルパネルや強化ガラスを採用することで、見た目以上に重量が増加します。
メンテナンス性を考えるとラックの上などに載せたいところなのですが、持ち上げにくい大きさと重さになるので単純に場所を取るだけでなく、置き場所が限定されてしまうことで扱いにくいと感じやすいです。
各BTOメーカーのミニタワーゲーミングPC一覧
ARK arkhive Gaming Alliance GN-I5G46M
小型なのに高性能!ミニサイズなゲーミングPC
おすすめ度:4
タイプ | ミニタワー |
---|---|
CPUメーカー | Intel |
CPU | Core i7-13400F |
グラフィックチップ | Nvidia RTX 4060 |
メモリ容量 | 16GB |
SSD容量 | 2TB |
HDD容量 | – – – |
電源 | 650W |
OS | Windows |
- 大容量ストレージを搭載
- Apexなどで180fpsを狙える性能
- 高画質設定でも快適に遊べる
- 高精細な4Kでゲームをプレイしたい人
+特徴を見る
Intelの第13世代CPU「Core i7-13400F」を搭載した、パソコン工房のミニタワーモデル。
GPUには「RTX 4060」を採用しており、フルHDであればほとんどのゲームを快適にプレイできるコスパに優れたゲーミングPCです。
2TBの大容量SSDを搭載しているのも大きなポイント。主にフルHDでゲームをプレイする方におすすめのコスパモデルです。
ドスパラ ガレリア RM5C-G60S
初めてのゲーミングPCに!低価格で買えるおすすめのモデル
おすすめ度:3.5
タイプ | ミニタワー |
---|---|
CPUメーカー | Intel |
CPU | Core i5-13400F |
グラフィックチップ | Nvidia GTX 1660 SUPER |
メモリ容量 | 16GB |
SSD容量 | 500GB |
HDD容量 | – – – |
電源 | 550W |
OS | Windows |
- ゲームを十分快適にプレイできるスペック
- 省スペースで机の上にも置きやすい
- 4Kで遊びたい人
+特徴を見る
サードウェーブが運営するPCショップ「ドスパラ」。そのドスパラのゲーミングPCブランドが「GALLERIA=ガレリア」となります。
以前よりゲーミングPCを手掛けてきたのですが、2020年にPCケースのデザインを一新。サイドパネルの一部が窓になっており、中の様子が確認できるようになりました。また、フロントパネルにはLEDが取り付けられています。
内部構成としては「Intel Core i5-13400F」と「Nvidia GeForce GTX 1660 SUPER」となっており、エントリークラスと言える構成。初めてのゲーミングPCとしても適しているモデルです。
マウスコンピューター G-Tune PG-I5G60
ハンドル付きで運びやすいミニサイズなゲーミングPC
おすすめ度:3.5
タイプ | ミニタワー |
---|---|
CPUメーカー | Intel |
CPU | Core i5-13400F |
グラフィックチップ | Nvidia RTX 4060 |
メモリ容量 | 16GB |
SSD容量 | 1TB |
HDD容量 | – – – |
電源 | 500W |
OS | Windows |
- ハンドル付きで模様替えの時に便利
- 万全の1年間サポート
- 200fps以上でプレイしたい人
+特徴を見る
国産パソコン製造を手掛けるマウスコンピューターのゲーミングPCブランドが「G-Tune」となります。
このケースの特徴は、持ち運びを容易にするハンドル。日本では馴染みが薄いのですが、パソコンを持ち寄るLANパーティーなどではよく見られるものです。
内部構成は「Intel Core i5-13400F」と「Nvidia GeForce RTX 4060」です。ミニタワーですが大型のグラボを搭載できるスペースを確保しているのもポイント。
各BTOメーカーのミドルタワーゲーミングPC一覧
パソコン工房 レベルインフィニティ ILeDXs-R779-A137F-UL1XB
最新のRTX 4070 Tiを搭載!ミドルタワーらしく拡張性にも優れたゲーミングPC
おすすめ度:5
タイプ | ミドルタワー |
---|---|
CPUメーカー | Intel |
CPU | Core i7-13700F |
グラフィックチップ | Nvidia RTX 4070 Ti |
メモリ容量 | 16GB |
SSD容量 | 512GB |
HDD容量 | – – – |
電源 | 700W |
OS | Windows |
- 最新のCPUとグラボを搭載
- 240fps張り付きも狙える性能
- シンプルなデザイン
- 画質にこだわりがない人
+特徴を見る
パソコン工房のゲーミングブランド「レベルインフィニティ」から販売されているミドルタワーのゲーミングPC。
Intelの第13世代CPU「Core i7-13700」と最新のGPU「RTX 4070 Ti」を搭載しており、高精細な4Kでのゲームも視野に入る高いスペックを持っています。
フルHDやWQHD環境ではRTX 3090を超える性能を持っているので、240fps張り付きを狙いたい方にもおすすめです。
また、R-Classシリーズは拡張性にも優れており、フロントには360mmのラジエーターを搭載可能なのもポイント。
性能だけではなく、拡張性も高いゲーミングPCが欲しい方に向いています。
ドスパラ ガレリア XA7C-R37 イード・アワード2022受賞記念モデル
WQHDでも快適!ほとんどのゲームを遊び尽くせるゲーミングPC
おすすめ度:4.5
タイプ | ミドルタワー |
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CPUメーカー | Intel |
CPU | Core i7-13700F |
グラフィックチップ | Nvidia RTX 3070 |
メモリ容量 | 16GB |
SSD容量 | 500GB |
HDD容量 | – – – |
電源 | 650W |
OS | Windows |
- 本格的にゲームをプレイしたい人向け
- 高フレームレート・高画質で遊べる
- 配信もしっかり可能
- 大容量のストレージ
- 画質やfpsにこだわりがない人
+特徴を見る
ドスパラのアッパーミドルクラスのゲーミングPCです。
ミドルタワーになったことでケース容量が増加。これによりRTX 3070でも余裕をもって搭載できます。
CPUもCore i7-13700Fとなっており、ゲームだけでなく同時配信などのマルチスレッド性能にも優れています。
フロンティア FRGAG-B760/B/NTK
冷却性能の高いミドルタワーケースを採用したフルHD向けのゲーミングPC
おすすめ度:4.5
タイプ | ミドルタワー |
---|---|
CPUメーカー | Intel |
CPU | Core i7-13700F |
グラフィックチップ | Nvidia RTX 4060 Ti |
メモリ容量 | 16GB |
SSD容量 | 1TB |
HDD容量 | – – – |
電源 | 850W |
OS | Windows |
- フルHD環境ならほとんどのゲームが快適
- 効率的に排熱と吸気ができるケース
- 水冷クーラーを標準採用
- 4Kでゲームをプレイしたい人
+特徴を見る
Intelの第13世代CPU「Core i7-13700F」を搭載したフロンティアのミドルタワーモデル。
グラボにはフルHD環境に適した「RTX 4060 Ti」を採用しており、ほとんどのゲームを高画質でプレイ可能です。
マザーボードを通常とは上下逆にする珍しい構造をしており、天板の吸気口からグラボに新鮮な空気を直接送り込むことで冷却効率が上がっています。
また、240mmのラジエーターを用いた水冷CPUクーラーを搭載しているのもポイントです。
ミドルタワーケースらしくカスタマイズで光学ドライブの追加も可能なので、冷却性能と拡張性を重視したい方におすすめのゲーミングPCになっています。
ミニタワーとミドルタワーの違いについてよくある質問
フルタワーケースにはどんなメリットがあるの?
フルタワーは最低でも約幅250×奥行き500×高さ500mm以上となり、ミドルタワーよりも大きなサイズのケースになっています。
大きい分、スペースに余裕があるため、拡張性がミドルタワー以上に高く、大型のグラボや水冷クーラーも取り付けやすいのがメリットです。
ただ、重量が20kgを超えるケースもあり、サイズも大きいので設置スペースに悩まされるのがデメリット。
よほどこだわったハイエンド構成でなければ、ほとんどの方はミドルタワーで十分です。
ガレリアのミドルタワーケースのサイズは?
ガレリアの「X-Series」や「Z-Series」に使われているミドルタワーケースのサイズは、幅220×奥行き440×高さ480mmです。
「R-Series」に使われているミニタワーケースは幅220×奥行き440×高さ425mmなので、違うのは高さだけになっています。
フロンティアのミドルタワーのサイズは?
フロンティアのミドルタワーを採用したゲーミングPCは「GAシリーズ」と「GHシリーズ」があります。
GAシリーズの旧モデルは約幅200×高さ423×奥行き485mm。新型ケースのGAシリーズは約幅210×高さ457×奥行き465mmです。
GHシリーズは約幅200×高さ465×奥行き470mmとなっています。
ミッドタワー型PCケースとは何ですか?
ミッドタワーはコルセアなどの公式サイトで使われている表現ですが、サイズ的にはミドルタワーと同じです。
例えば、コルセアのiCUE 5000X RGBは公式サイトだとミッドタワーと書かれていますが、代理店のアスクやAmazonではミドルタワー型PCケースとして紹介されています。
ミッドタワーはミドルタワーと同じPCケースと考えて大丈夫です。表記ゆれや翻訳の違いと考えましょう。
古いミドルタワーだとハイスペグラボが入らないことがある?
メーカー製のゲーミングPCを買うならあまり問題にはなりませんが、増設や自作をする際に、古いミドルタワーケースだとハイスペックなグラボが入らない場合もあります。
ミドルタワーケースは拡張性の高さが魅力ですが、最新のハイスペックグラボは幅320mm以上の大型モデルも多いです。
ミドルタワーのケースでも、作りが古いとフロント付近にストレージ用の3.5インチベイがあるため、RTX 4080のようなハイスペックグラボが入らない可能性があります。
例えば、Antecから2014年に発売されたミドルタワーケースのP100に設置できるグラボサイズは最大317mmまで。
同メーカーから2022年に発売された後継モデルであるP10Cは最大405mmまでと大きな違いがあります。
PCケースの構造は製造時期の流行りによって変わるので、幅や奥行きだけではなく、内部のスペースも必ず確認するようにしましょう。
ミニタワーの排熱能力を上げる方法はある?
PCの排熱能力を上げるにはCPUクーラーやファンの設置が欠かせませんが、ミニタワーケースに収まる冷却機構は性能が高くありません。
通気の良い場所に設置したり、こまめにフィルターを掃除するなどの対策も有効ですが、根本的な冷却性能を高めたいのであればミドルタワーを選択することをおすすめします。
ミニタワーとミドルタワーの違いについてまとめ
長期的に考えるとパーツの選択肢が豊富なミドルタワーがおすすめです。
PCケースは長く流用できるパーツなので、内部に余裕があるミドルタワーを選べば、グラボをより高性能なモデルに交換する時も困ることは少なくなります。
設置スペースを確保できない、パーツの追加をする予定がない方はミニタワー。拡張性、冷却性能など扱いやすいモデルが欲しい場合はミドルタワーを選びましょう。
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