ゲームをするうえで、メモリ容量はCPU・グラボに次いで重要なポイントです。
基本的には16GBで十分といわれているものの、自分のやりたいことに対して容量が小さかった場合はゲーミングPCがカクついたり落ちたりすることも。
そこで今回は、ゲーミングPCのメモリ容量はどれぐらいあればいいかについて焦点をあてつつ、増設する際の注意点などについても解説します。
ゲーミングPCでのメモリの役割とは?

メモリとは、データを保存するストレージのひとつです。HDDやSSDが長期的にデータを保存するのに対し、メモリはPCがさまざまな処理を行う上で必要なデータを、短期的に保存します。
パソコンがさまざまな処理を行う中で、CPUやSSDからは大量のデータがやり取りされています。
メモリはそのデータを一時的に保存してスムーズに処理できるようサポートする、いわば中継地点のような役割をはたすものです。
机が大きければ効率良く作業が進められるのと同じように、メモリの容量が大きいと、それだけ多くのデータを高速で取得できます。
複数の作業を快適かつ高速で行うには、適正なメモリ容量が必要です。
そもそもメモリ不足だとどんな症状に陥るの?

メモリが不足すると「パソコンが急に重くなる」「動作や反応速度が落ちる」といった症状を引き起こします。
先ほどの作業机の例えを借りるなら「机の上がいっぱいになってパンクしている状態」ともいえるでしょう。
ゲームプレイにおいては「ロード時間が長くなる」「フレームレートが下がる」などの症状がみられます。
グラフィックの残像が残ったり、カクカクするのもメモリ不足によるものが大きいでしょう。
ソロプレイでもストレスを感じる状況ですが、対人ゲームでこれらの症状が頻発するとゲームプレイそのものに大きな支障が出てきます。
場合によっては画面がクラッシュして、電源が落ちてしまう可能性も。この状態が続くと、パソコン本体にも大きな負担がかかるので注意が必要です。
みんなはどれぐらいメモリ容量を積んでる?実際に調査してみた

だらメモろぐが独自に「100人のゲーマー対してゲーミングPCの理想のスペックはどれぐらいか」調査したアンケートで、利用しているゲーミングPCのメモリ容量をアンケートしました。
結果は、16GBがほとんど。ゲームをプレイするのであれば、16GBあれば十分であることが分かります。
一方で、32GB搭載している人もなかにはいます。動画編集や配信など、アプリを複数起動する場合はメモリを増設するケースも見られました。一般的には16~32GBあれば十分であると認識して問題ありません。
【目安】ゲーミングPCにどれくらいメモリ容量を積めばいいのか解説
ここからはゲーミングPCに必要なメモリ容量を用途ごとに解説していきます。
気になる項目がある場合は、下記の読み飛ばしリストからジャンプできます。
16GB必要な人
多くのBTOメーカーから16GBを標準搭載しているモデルが発売されるなど、ゲーミングPCの新しい主流ともいえる容量です。
FF15やエルデンリングなど最近発表されたゲームは、メモリ16GB以上を推奨するタイトルが多数あります。
16GBあれば、ほとんどのゲームタイトルがスムーズにプレイできます。ブラウザやディスコードなど、他のアプリケーションを実行しながらでも重さやカクつきを感じないでしょう。
初めてゲーミングPCを購入しようと考えている方や、コスパと快適さを両立したいという方。ゲームプレイ以外にPCを使用する予定がないという方におすすめです。
32GB必要な人
16GBと並んで、最近はメモリを32GB搭載したゲーミングPCも登場するようになりました。一般的なPCゲームであれば、メモリが問題になることはまずありません。
動画配信や編集、イラスト制作などのクリエイター作業にも対応可能ですし、従来のゲームにModを導入するなど、楽しみ方の幅が格段に広くなります。
これから発表されるゲームがより高いスペックを要求してくる可能性を考えると、初めからメモリ32GBを搭載したモデルを購入するという選択肢も。
ゲーム環境に妥協したくない方、ゲーム配信などのクリエイター作業にもチャレンジしてみたい方におすすめです。
64GB必要な人
ゲーミングPCで64GBを搭載しているモデルは、現状ほとんどないため、メモリを別途増設することになります。
美麗なグラフィックが売りのゲームを配信しながら裏で動画のレンダリングをするなど、負荷の高い作業を並行して行っても、まだ余裕のあるスペックです。
ただし、64GBものメモリに見合ったパソコンとなると、CPUやグラボにも相応のパワーが求められ、価格も相当なものになります。
現時点で最高クラスのゲーミングPCを使いたい方、複数ソフトを立ち上げてもサクサク動く環境を求める方におすすめです。
128GB必要な人
現時点で128GBのメモリを搭載したPCが必要になる人は、かなり限定されます。
3Dモデリングやアニメーションを作成や、大規模なシミュレーションを行う向けの容量といえるでしょう。ゲーミングPCと考えると、オーバースペックです。
また、128GBのメモリというと価格もかなり高くなります。PCゲームのパフォーマンスは、グラボやCPUにも大きく左右されるものです。
メモリの容量を落としてグラボやCPUに予算を割り振ったほうが、ゲーミングPCとしては快適な環境を構築できます。
ゲーミングPCにおすすめなメモリ
ANTEC AM4U32168G11-7DKR

同じ16GBのメモリでもデザインやLEDにこだわりたいという方は、こちらのモデルがおすすめです。
日本刀をイメージしたというトップのイルミネーションはソフトな光り方で、他パーツとの相性も良好。
消灯時のシルバーメタリック仕上げも印象的です。表面のアルミニウムヒートシンクも、黒色の表面加工が存在感を放ちます。
XMP2.0に準拠しているので対応マザーボードと組み合わせて使えば、より安定するとともに高いパフォーマンスを引き出せます。
スペックとデザインを両立したいという方にぴったりのモデルです。
GIGABYTE AORUS GP-ARS16G44 MM6018

処理の速さを追求するなら、GP-ARS16G44 MM6018という選択肢もあります。
DDR4 4400Hzという高性能な設計は、妥協のないスペックでゲームプレイしたいという方向けです。アルミ製ヒートシンクで放熱効果も確保し、常に高いパフォーマンスを保ちます。
LEDは12個の照明モードをサポートし、シーンや好みに合わせて自在に光らせることができるのも特徴。
16GBの中ではかなり価格の高いモデルですが、それに見合った性能とデザインです。
Crucial CT2K8G4DFRA32A

16GB(8GB×2)というスタンダードな容量の、デスクトップPC用メモリです。
16GBのメモリとしては標準的な価格ですが、Crucialのメモリは高い安定性と互換性で知られています。公式サイトから購入すれば、互換性保証&保証がついているのも嬉しいポイント。
DDR4 SDRAMは現在主流の規格なので、初めて自分でメモリ増設をするという方でもチャレンジしやすいモデルといえるでしょう。
Corsair CMK32GX4M2C3200C18

32GBとしては、手頃な価格のモデルです。同スペックのメモリで20,000円を超えているモデルもあることを考えれば、コストパフォーマンスは良好と言って良いでしょう。
PC周辺機器の老舗メーカーだけあって安定性も高く、ゲーミングPCに搭載するのに向いているモデルです。
メモリも光らせたいという方は、多少価格は変わりますがRGBを選ぶことも可能。ある程度余裕を持ったスペックで、快適にゲームをプレイしたいという方におすすめです。
Team Elite Plus TPRD416G2666HC19DC01-A

こちらのモデルは16GBのメモリとしては手頃な価格ですが、赤いヒートシンクが装着されているのが特徴です。
XMPには対応していませんが、JEDEC準拠のメモリなので、オーバークロックを避けて安定した動作を求める方に向いています。
発売元のTeamグループは台湾に本社を置く企業ですが、日本にも窓口があるので保証に関する問い合わせを日本語で送れるのもポイント。
手頃な価格でヒートシンク付きのメモリを購入したいという方におすすめのモデルです。
ゲーミングPCにメモリを増設する際の注意点
本当に増設すべきかは使用率を見れば分かる
メモリが実際にどのくらい使われているか調べるには、タスクバーを右クリックして「タスクマネージャー」を開き「パフォーマンス」タブを開きます。
右の「メモリ」をクリックすると現在の使用率が表示されるので、ゲームクライアントやブラウザを起動した状態など、さまざまなパターンで確認してみましょう。それぞれの使用比率については「プロセス」タブをクリック。
ブラウザのメモリ使用率が意外と高かったり、バックグラウンドで動いているアプリが使用率を圧迫しているなど、メモリがどのように使われているかチェックできます。
使用率が80%以上に達するシーンがみられるようなら、メモリが足りていない可能性も。増設を考えたほうが良いでしょう。
スロットに空きがあるか確認しよう
メモリを増設するには、PC内に空きスロットがあるか確認する必要があります。使用量を調べる時に開いた「タスクマネージャー」の「パフォーマンス」タブをクリックし、「メモリ」を選択。
右下の「スロットの使用」という欄を確認すれば、スロットの数とそのうちいくつ使用しているかを調べられます。
例えば2/4と表示されていれば4つあるスロットのうちの2つが、4/4と表示されていれば4つすべてが埋まっているという意味です。
空きがあれば新しく買ったメモリをスロットに挿すだけでOKですが、すべて埋まっている場合は、容量の大きいメモリに挿し替える必要があります。
どのメモリを買うか判断するのに重要なポイントなので、最初に確認しておきましょう。
フォームファクターを確認しよう
フォームファクターとは、メモリの形状のことです。主にデスクトップPCで使用されるDIMMと、ノートパソコンやミニタワーなど小型のデスクトップPCに使用されるS.O.DIMMの2種類があります。
この二種類は形状が違うので、異なるフォームファクターのメモリを挿すことはできません。
どちらのメモリが使われているかは、メモリの使用量や空きスロットを調べた「タスクマネージャー」で確認することが可能です。
実際に見てみると形が違うのであまり間違えることはないのですが、ネット通販など現物を見ずに購入する際は、必ず事前にフォームファクターを確認しておきましょう。
モジュール規格を確認しよう
フォームファクター以外にも、メモリにはモジュール規格というものがあります。
これは動作周波数や転送速度の違いを示したもので、メモリの性能を示しているものです。データ転送速度が高ければ高いほど、処理速度も早いということになります。
新しいメモリを購入する際は、モジュール規格を合わせて購入するようにしましょう。
モジュール規格(メモリ帯域幅)はメモリチップ規格と互いに対応しており、メモリチップ規格が「DDR3~」の場合は「PC3-●●●」、現在の主流である「DDR4~」の場合は「PC4-●●●」と表記されます。
モジュール規格は現在どのメモリを使用しているか分かれば調べられるので、カスタマイズ仕様書や購入時の書類をチェックしてみましょう。
JEDEC規格とXMPの違いは?
現在市場にでているメモリには大きく分けて、JEDEC準拠のネイティブメモリと、XMP仕様のオーバークロックメモリがあります。
JEDECは世界標準規格のことで、安定性の高さが特徴。一般的なPCをはじめ、ゲーミングPCにも多くの場合はJEDEC準拠のメモリが採用されています。
対して、XMPはメモリに登録されたオーバークロック仕様のことです。速度やメモリタイミングが速い代わりに、オーバークロックしているため安定性ではJEDEC準拠のメモリにやや劣ります。
また、JEDEC準拠のネイティブメモリは付けるだけで性能を発揮しますが、XMP仕様のオーバークロックメモリはBIOSやUEFIから設定しなければスペックに表記された速度が出せません。
ゲーミングPCの安定性を重視したい場合はJEDEC準拠のネイティブメモリ。ゲームのフレームレートを少しでも上げたい場合は、XMP仕様のオーバークロックメモリを選びましょう。
トラブルが起きる可能性があるため、ネイティブメモリとオーバークロックメモリの混在は避けてください。
メモリの4枚挿しにはデメリットも
一般的なマザーボードには、メモリスロットが4つ装備されています。
ほとんどのゲーミングPCに標準搭載されているメモリは2枚なので、速度や容量が同じメモリを最大4枚まで増設することが可能です。
メモリの増設は比較的簡単な作業ですが、4枚挿しにはデメリットもあります。単純にパーツが増えることでトラブルが起こりやすくなるのです。
例として、XMPを使用したオーバークロックメモリの場合は転送速度が思うように設定できず、性能を落とさなければならないこともあります。
メモリは2枚挿してデュアルチャネルで使ったほうが安定するため、コスパを優先したり、光らせてイルミネーションを楽しみたいなど理由がなければ4枚挿しは避けましょう。
ゲーム配信もするなら32GBを目安にしよう
ゲーミングPCに標準搭載されているメモリ容量は16GBが多いですが、ゲーム配信もするなら32GBを目安にしましょう。
配信ソフトなどを同時起動するので、普通にゲームをプレイするよりもメモリ使用率が上がるため、動作が重くなりカクつきが起こることもあります。
16GBでも配信は可能ですが、メモリ容量に余裕があったほうが快適に作業ができるため、32GBあったほうが安心です。
ゲーミングPCのメモリは8GBでも快適?
ゲーミングPCのメモリは16GBが標準です。8GBはおすすめしません。
一般的なパソコンでブラウジングや軽い作業をするだけなら、8GBでも足りることはあります。
しかし、ゲーミングPCはゲームや重い作業を快適に行うことを目的としたパソコンです。8GBでは、メモリ不足に陥ってしまう可能性が高くなります。
2023年現在は、メモリが安価になっているのでゲーミングPCを選ぶ時は必ず16GB以上を搭載したモデルか、8GBのモデルはカスタマイズでアップグレードしましょう。
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